
9月から10月上旬にかけては、みつばちの天敵が巣箱を襲ういや~な季節です。この時期のみつばちの天敵とはスズメバチ。大きくて羽音も恐ろしいオオスズメバチと、一回り小さいキイロスズメバチです。夏の終わりから秋口はスズメバチの繁殖期にあたるため、幼虫たちに与える餌が大量に必要になります。そのため、餌を求めてみつばちの巣箱を襲うのです。しかし、同じ蜂といってもスズメバチの幼虫の餌ははちみつではありません。
オオスズメバチはみつばちの幼虫やさなぎを狙ってやってきます。彼らは数匹から十数匹ぐらいの集団で、みつばちの巣門の前で待ち伏せします。そして、巣を守るために中から飛び出してくるみつばちをかたっぱしからひと噛みで殺してしまいます。その力の差は圧倒的で、オオスズメバチが5~6匹もいれば、巣箱を2段に重ねてある大所帯のみつばちの巣箱でも1時間ぐらいで全滅させてしまうそうです。じゃまになる成虫のみつばちが1匹もいなくなった後、彼らは幼虫やさなぎをさらっていき、自分たちの幼虫の餌とします。
キイロスズメバチも自分たちの幼虫の餌を求めてみつばちの巣にやってきますが、こちらの狙いはみつばちの成虫です。彼らは巣箱の前で1匹ずつみつばちを捕らえては自分たちの巣に運んでいきます。
巣箱を全滅させてしまうオオスズメバチの方が被害が甚大です。養蜂されているみつばちはセイヨウミツバチと呼ばれる、もともとは外国産の蜂。セイヨウミツバチのふるさとはオオスズメバチのいない地域のため、オオスズメバチに対抗する手段を持たず、あっけなく全滅させられてしまうのです。セイヨウミツバチが日本で生きて行くためには、どうしても人間(養蜂家)の手助けが必要です。

このスズメバチたちの攻撃を防ぐために、巣箱の前には『スズメバチ捕獲器』が取り付けられます。みつばちは体が小さいので全面の金網部分を自由に通り抜けることができますが、スズメバチは通れません。金網の下の部分は内側にレの字に折り曲げられていて、この下からはスズメバチも入れるのですが、一旦ここから入ってしまうと、金網部分から外に出られなくなってしまいます。もと来た道を戻れば外に出られるはずなのに、蜂は明るい方向に行くという習性があるため暗い下の方を通るということはしないのです。そうして金網の部分をうろうろしているうちに、トンネル(?)をくぐって捕獲器の上部に出てしまい、完全に閉じ込められてしまいます。
でも、この捕獲器を取り付けてあってもスズメバチの攻撃を完全に防ぐことはできません。右の写真を撮影した翌日、2つの巣箱の前におびただしい数のみつばちが落ちていて、まだ生きているのかザワザワと動いていました。養蜂家の加藤さんに聞いてみると「オオグロ(オオスズメバチのこと)が10匹ほど来て、やられたんや。さっきも6匹来とって...」と苦々しい顔。「1匹でも逃がすと、また仲間を連れてくるさかい」と、オオスズメバチを全部ハエたたきでたたきつぶしたそうです。発見が早かったので、このときの被害はたいしたことはありませんでしたが、弱肉強食の世界をまざまざと見せつけられた思いでした。

巣箱の前に取り付けられているのがスズメバチ捕獲器。中にはたくさんのスズメバチが捕らえられています。

捕らえられたオオスズメバチ。この蜂に集団で襲われたら、みつばちの巣箱はひとたまりもありません。

写真が見づらいのですが、キイロスズメバチがたくさん捕らえられています。金網の上の方に4~5匹とまっており、下の方には死骸がたくさんたまっています。

ハエたたきを手に、蜂場を見回る養蜂家の加藤さん。スズメバチをみつけたら、たたきつぶすのがいちばん! でも、ずっと監視している訳にもいかないので、被害にあってしまうことも...。スズメバチたちとの戦いは10月上旬まで続きます。